展示情報など

河北新報 2012/05/20
「レトロ館」で再出発 市民が運営 名建築のペン画展示

2007年に閉館したJR仙山線山寺駅前の老舗旅館「山寺ホテル」(山形市)が4月、山形県内の歴史的建造物を描いたペン画120点を展示する「やまがたレトロ館」として再出発した。同ホテル自体が明治期の貴重な木造建築であり、絵画との組合せが、山寺の風情に新たな彩りを添える文化的空間をつくり出している。

古い建築を愛する市民でつくる「山形歴史たてもの研究会」(結城玲子会長)が運営に当たる。

レトロ館には、明治から昭和初期の建築を描いた作品が並ぶ。山形市の「市郷土館」(旧済生館本館)や「文翔館」(旧山形県庁)など、今も市民に親しまれている建物が、温かで緻密なタッチで描かれている。

老朽化や区画整理で取り壊され現存しない建物も、研究会が撮影した過去の写真をもとに作品化されており、歴史資料としても貴重だ。

作品はすべて、結城会長の父でペン画家の泰作さん(2005年に83歳で死去)が描いた。未完成の作品を含め400点近くが遺されており、展示作品は定期的に入れ替える予定だ。玲子さんは「ペン画やレトロ館の作りを通して、古い建物の良さを感じてもらえたらうれしい」と話す。

山寺ホテルは明治後期に建てられ、大正、昭和にも増築した。現在では珍しい木造3階建てで、意匠を凝らした建具や昭和初期のセメント瓦など、当時の旅籠の面影を随所に残す。2階の大広間からは宝珠山とその絶壁に建つ立石寺を正面に望むことができ、宿泊客を楽しませてきた。

ホテルは07年に経営者が亡くなり廃業。建物は遺族が所有するが、人の出入りが減ったことなどから風通しが悪くなり、老朽化が進んだ。

研究会は維持修復費を集める一助にと昨年9月、同ホテルで泰作さんの作品展を初開催。風情あふれる建物とペン画の組み合わせが評判を呼び、レトロ館開館につながった。今後は建物を公開しながら維持、保存を目指していく。

レトロ館はこの冬の大雪で屋根が傷み、柱の一部が傾いた。修繕が急がれるため、研究会は寄付金も募っている。結城会長は「『山寺ホテル』は山寺の景観の一部。少しでも長く維持できるよう努める」と力を込める。

レトロ館は入場無料。開館は午前10時〜午後4時。原則無休だが、冬期休業する場合がある。連絡先は023(695)2216。